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東京成徳大中学校女子バスケットボール部 第7回目指導
11月24日 月曜祝日
AM9:00〜PM1:00
東京成徳大中学校女子バスケットボール部員 14名 鈴木 良和

指導のねらい
1)シュートのスパイラルチェック
2)基本の修正の仕方
3)実戦力アップドリル
バスケットボールの家庭教師

 Practice Menu Key Point !
1.パラダイムの紹介
 ・練習の捉え方で差をつける
まず最初に、おばあさんの絵と若い女の人の絵を見てもらいました。その後、お婆さんにも若い女の人にも見えるという「だまし絵」を見てもらいました。

最初にお婆さんの絵を見てからだまし絵を見た人はお婆さんに見えやすく、最初に若い女の人の絵を見てからだまし絵を見た人は若い女の人に見えやすかったと思います。

このだまし絵は、1枚の絵です。

しかし、もともと持っている情報が違うだけで、人によってはお婆さんに、人によっては若い女の人に見えるのです。

「同じ物でも、人によって違うものだと思っている場合がある」ということを皆さんに伝えたかったのです。そして、すでに持っている価値観によって、物事の見え方はある程度決まってしまうということも分かってもらえたと思います。

物事の見え方は行動に関係します。
このだまし絵の女性が重たい荷物を持っていた場合、お婆さんに見えた人は手伝ってあげるかもしれませんが、若い女の人に見えた人は手伝おうとはしないと思います。

練習も同じです。
同じ練習をしていても、みんなそれぞれ捉え方が違うのです。その違いが、うまくなるかならないかを決めています。捉え方が違うと行動が変わるからです。イチローと同じ練習をしていても、イチローになれるのはイチローだけです。なぜなら、同じ練習をしていても、イチローのように練習をとらえていなければ、イチローになれないからです。

皆さんは本当にうまくなれる練習の捉え方を出来ていますか?

すでに持っている価値観で練習を捉えていたら、いままでと同じ練習になってしまいます。今までよりもさらに良い練習をしたかったら、練習の「考え方」を変えていかなければならないのです。

これからの練習は、今までの練習よりも考え方が良い方へ変わるように、自分を変えていきましょう。

物事の見方、捉え方を
「パラダイム」と言います。

日本一シュートが入るパラダイムを持った練習をみんなで作っていきましょう!

2.基本練習と実戦練習のスパイラルチェック シュートは基本練習と実戦練習の両方を行うことでレベルが上がっていきます。

止まった状態の基本練習ばかりをやっていても、試合で入るようにはなりません。
動きをいれた実戦的な練習ばかりをやっていると、徐々にバランスが崩れたりフォームが崩れたりして、結局、より高い確率のシュートになりません。

シュート練習は
基本と実戦のスパイラル(螺旋上達)を目指します。

基本が安定している時は実戦練習を多くし、基本が不安定になったら基本練習を多くしていくようにします。

基本が安定しているかどうかを確認するのに良い練習は、連続ジャンプシューティングです。パスキャッチからの連続ジャンプシューティングで、近い距離から、シュートが入ったらだんだん下がるというシュート練習を行います。

この練習で、シュートが左右に曲がらないこと、距離を変えても連続で決めることができることが達成できれば基本は安定しているといえます。その場合は、実戦編のシュート練習を行いましょう。

このシューティングでボールが左右に曲がったら、次の自己修正チェックに移りましょう。

まっすぐは飛ぶものの、距離を合わせるのがうまくいかない場合は、距離感をつかむの基本練習を重点的にやりましょう。

3.自己修正チェック シュートは「キャッチ」「リフティング」「フォロースルー」の3つに技術を分解します。シュートが曲がる場合、この3つのどれかに曲がる原因があるのです。

1.ボールを高く構えた状態で連続ジャンプ
 この練習でボールが曲がったら、スナップか、サポートハンドが問題です。

2.ボールをトリプルスレットに構えた状態で連続ジャンプ
 1でシュートが曲がらなかった場合、2でリフティングをチェックします。この練習でボールが曲がったら、肘の動きに問題があるかもしれません。必ず、良い持ち方を確認してから練習するようにしましょう。良い持ち方が出来ていて、1の練習で曲がらないシュートが打てているのであれば、ボールの持ち上げ方に曲がる原因を限定できるのです。

3.連続ジャンプしている状態でパスを出してもらってキャッチからシュート
 1でも2でもボールが曲がらなかった場合は、キャッチが問題の場合が多いです。ハンズレディを意識して、パスキャッチの形を重視した練習を行うようにします。

4.基本編「まっすぐ打つ」 「フォロースルーの練習法」
連続ジャンプシュートのスナップチェックでシュートが曲がってしまったら、片手シューティングで2Lからフォロースルーまでの動きを確認しましょう。このエレベータームーブの動きでシュートがまっすぐ打てないと、実戦で安定してまっすぐ打つことが出来ません。

「リフティングの練習法」
・プッシュパス
自己修正チェックの2の練習でボールが曲がってしまう場合は、プッシュパスの練習で肘をまっすぐ伸ばす感覚を身につけましょう。肘をわきにつけるようにしぼって、まっすぐプッシュパスを出す動きがリフティングの動きに近い動作です。抜くと引っかけるの練習と一緒に、肘の動きも確認しましょう。

5.基本編「その距離に打つ」 距離感をつかむ練習は、スキーマシューティングです。肘を伸ばしてスナップを安定させ、同じシュートフォームでだんだん距離を変えていきます

この練習で大事なことは、フォームを一定にすることと、アーチの高さを安定させることです。近いシュートと遠いシュートでアーチの高さが違うと、距離感は別々につかむことになるということです。

アーチの高さがボールが空中にいる時間を決めます。空中にいる時間が一緒ならば、速度で距離が決まります。

つまり、
アーチが安定していると、ボールに伝えるスピードをコントロールするだけで距離感が合わせられます

ボールのスピードは
“抜く”“引っかける”の技術を使って細かくコントロールすることができるので、アーチの高さを安定させて練習してください。

6.基本編「高く打つ」 アーチをなるべく一定にすることで、距離感がつかみやすくなるというのを紹介しましたが、低いアーチで一定にするよりも、高いアーチで一定にできた方がシュートの確率は高くなります。

アーチが高いシュートの方が確率が高くなる理由は、
・リングは上向きになので、
真上に近い角度ほど入射面積が広くなります

・アーチが高いと、
ボールの強さのブレが上下に分散するので、前後の方向へのブレは少なくなります。(ホワイトボードで矢印の向きと強さを表すベクトルを使って説明しました。)

7.コーディネーションレイアップ 実戦練習に入る前に、皆さんの運動能力を高めるレイアップ練習を紹介しました。

試合中のパフォーマンスは
・身体能力
・運動能力
・技術力
・判断力
・精神力

のバランスで決まると考えています。
バランスが崩れていると、試合中のパフォーマンスレベルはその
低い能力に水準が合ってしまいます。いくら足が速くても、そのレベルのハンドリング力がなければ、ドリブル中にボールを置き去りにしてしまうのが良い例です。

みなさんがこれからシュートの実戦能力を高める上で、運動能力のレベルを高めることはとても重要だと思います。
ぜひ、レベル7まではクリアできるように練習してみてください。

1.ボールを回して
2.自分が回って
3.ボールを回して自分も回って
4.ビハインドパスから
5.ワンステップボール回し
6.ボールを回して股の下を通して
7.ボールを回して自分も回って股の下を通して
8.ロールジャンプ
9.ロールジャンプボール回し
10.ロールジャンプボール回し股下通しバックシュート

8.バランスドリブルシューティング ドリブルの練習も兼ねた、バランスシューティングドリルです。サイドラインでジグザグにフローティングというテクニックを練習し、中央で二人組で押し合いながらのバランスドリブルをやってもらいました。

ドリブルは、押し合いの中で基本技術を発揮できるようになりましょう。その押し合いのバランスからジャンプシュート練習を行いました。

相手と押し合っていたバランスから、しっかりとバランスを修正して、安定した姿勢でシュートを打てるようにしましょう。

9.実戦シューティング
 ・ドライブイン キックバック
 ・ドライブイン ストップ&ターン
 ・ドライブイン ロールジャンプ
最後に、実戦的なシュート練習を行いました。

スパイラルチェックで基本が安定していた選手は、ここで紹介したようなキキムーブやストップ&ターン、ロールジャンプなどからのシュートをたくさん練習しましょう!

1)キックバック(キキムーブ)
ドライブ中に、ディフェンスから離れるステップを踏んでシュートを打ちます。このときに、ゴールに向かったドライブインを意識しましょう。ゴールに向かっていないドライブインでは、ステップバックの際にディフェンスから離れるのが難しくなります。ディフェンスがゴール方向に進もうとしているところを離れるので、チャンスの空間が作れるのです。

2)ストップ&ターン
ドライブのレイアップが止められた場合に使うステップです。ディフェンスに背中を向けて止まり、次に縦足を作るようにステップを踏みます。そのままフェイドアウェイでシュートを決められるようになれば、「どんな状態でも打てる」の能力がとても高くなります。

3)ロールジャンプ
ドライブ中にディフェンスがコースに入ってきたら、ロールで逆側を抜きましょう。この時に、
「肩」がセンサーの代わりになります。肩がディフェンスの腰を抜いていたら、そのまま強引にバランスを保ってゴールに向かいます。

肩の正面にディフェンスが入ってきたら、それ以上その方向に向かおうとするとゴールから遠ざかることになってしまうので、ロールで逆側を抜いてしまいましょう。

この時に、ボールを持つタイミングが早いとトラベリングになってしまうので注意してください。

こういった実戦的な動きの中でシュートが確率良く決まることが重要です。しかも、これからこういった練習は「動きを速く」、「力強く」をレベルアップさせながら、正確さも高めていかなければなりません。

その努力の延長上が、どのチームにも負けないシュート力を身につけるということになります。

 指導の感想と次回へ向けてのコメント
 今回、スパイラルチェックを紹介しました。シュートは、個人個人で課題が違ってきます。基本的な部分をもっと練習する必要がある選手もいれば、実戦的な動きの中での練習を増やす必要がある選手もいます。基本のフォームが安定しているのに、いつまでも基本の練習を行っているのは、機械のメンテナンスばかりして、製品を製造しない工場と同じです。基本が安定してきたら、今回と前回で紹介したような実戦練習に取り組みましょう。

 自分はいま「基本→実戦」のスパイラルか、「実戦→基本」のスパイラルかを自分でチェックできるようになれば、日々のシュート練習がより意味のある、濃い練習になっていくと思います。そういったことを意識できているか、そういう視点で練習を捉えることが出来ているかどうか、この
「シュート練習のパラダイム」がシュートが入るチームと入らないチームの差を分けるのだと思います。

お婆さんとお姉さんに見える「だまし絵」をいつも思い出して、練習の捉え方を今までと変えていきましょう!同じ練習でも、違ってとらえれば違って行動できるのです。いつもそれを意識して、誰にも負けないシュート力を磨いていってください。

 また次回、皆さんの成長が見れるのを楽しみにしています!

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