プラクティスレポート2009

依頼者・チーム名 日時情報 参加者情報 指導者情報
東京成徳大中学校女子バスケットボール部 第12回目指導
9月29日 火曜日
AM9:00〜PM13:00
中学2年生女子 8名
中学1年生女子 9名
合計 17名
鈴木 良和

指導のねらい
1)シュート力テスト
2)シュートの基本を確認する
3)実戦的なシュート練習で能力を確認する

 Practice Menu Key Point !
1.ウォーミングアップ  新チーム最初の練習となりました。今年も一緒に練習できることをとても嬉しく思います。今年のチームも高い目標に向かっていくので、中学トップレベルのシュート力を目指して練習を続けていきましょう。

 まず最初に、ボールを2個重ねて歩くウォーキングを行いました。シュートがうまくなるために、まずは腕の筋肉を微調整する感覚をつかむことと、 ボールの中心をとらえることをねらいとしたドリルです。

 手の甲でボールを支えて、コートを一周ランニングするという練習も行いました。ボールを落とさず走れるように、上達したら腕を振りながらでも手の甲でボールをキープできるように練習しましょう。

 腕から指先にかけてがおおざっぱにしかコントロールできない選手は、リングの中にボールをコントロールすることは難しくなります。
シュートは繊細な技術です。腕や指で細かい微調整が行えるようにトレーニングしましょう。

2.シュート力チェックテスト
 ・台形シューティング
 ・1分シューティング
 ・ジョニードーキンス(チーム)
 ・スターシューティング
 ・ラピッドファイヤー
 ・99ersオールコート
 今年最初の練習なので、まずは皆さんの現段階でのシュート力をテストしました。これはシュートの3つの基本原則、3つの実戦能力をそれぞれを確認するためのドリルになっています。

1)台形シューティング
 自分でフォームの確認ができるメニューです。また、11箇所すべて微妙に距離・角度が違うので、指先の微調整が大事になってきます。「ノーミスで片道をクリアする」ことが目標で、制限時間は1分30秒としました。
 この練習は、「まっすぐ打つ」「その距離に打つ」「高いアーチで打つ」という基本3原則を確認することができる練習です。集中力や精神力も試されるテストです。
 今回は3分50秒クリアが最高記録です。まずは、1分30秒以内クリアを目標に練習して下さい。

2)1分シューティング
毎年行っている1分間同じ場所でシュートを打つシューティングです。20本くらい打つことができるので、2ポイントは15本以上、3ポイントは5本以上決めることを目標に練習をしていきましょう。

同じ場所で打ち続けるシューティングのテーマは
★修正力
★再現性

です。シュートが入ったら、そのシュートを繰り返すこと。シュートが外れたら、続けて外さないこと。これを意識して練習していけば、シュート力が高まります。

この練習は、2ポイント5か所、3ポイント5か所、計10か所で記録を取ると成長が確認できます。教え子の最高記録は128本です。
今回の最高記録はミカの101本でした!
 3ポイントでは、アオイの35本が最高記録です!


3)ジョニードーキンス(チーム)

 これも、毎年行っているシューティングドリルですが、今回はチームワークドリルとしてチーム全体のクリア目標を設定してチャレンジしてもらいました。
 Level-1:プラス3点・マイナス1点  1point
 Level-2:プラス2点・マイナス1点  2point
 Level-3:プラス1点・マイナス1点  3point
 Level-4:プラス1点・マイナス2点  4point
 Level-5:プラス1点・マイナス3点  5point

 2人組で、1人2分ずつチャレンジします。自分でレベルを設定し、10点たまればクリアです。クリアした時に、チャレンジしたレベル分のポイントをゲットできます。最初はチーム全体で15人×3ポイントの45ポイントをとれたらクリアにしました。

 チームでは、全員が同じではありません。それぞれ得意不得意があり、自分の得意なところで誰かの苦手なところを補い合い、
相互補完を目指します。この練習は相互補完のドリルです。シュートが得意な人は、苦手な人の分まで高いレベルにチャレンジし、シュートが苦手な人も、チームのために自分ができるレベルにおいて最大限に努力します。全員が、チームに必要な1人なのです。たとえ、レベル1にチャレンジしている選手でも、その選手が自分の役割を果たさなかったら全体で45ポイントにはなりません。チームというのは、仲間全員で1つの目標を達成するために力を合わせているのだということを感じることができるドリルです。

 チームで55ポイントとることができるように、まずは練習を重ねていってください!
制限時間内にクリアした人は、チーム全体が高得点につながるために自分ができることを考えて行動するのも練習の1つです。


4)スターシューティング

 星型に移動しながら1分間3ポイントシュートを打ってもらいました。この練習は、基本3原則プラス、長い距離を走った後にバランスよくストップし、キャッチから素早く打つという実戦の要素をいれたトレーニングです。5本以上を目標に、チャレンジしてみて下さい。10本を超えられるようになったら天才中学生です!
 
今回はノンとアオイの6本が最高記録です!

5)ラピッドファイヤー
 1分30秒のムービングジャンプショットドリルです。
・最初の30秒は、ショートコーナーとエルボー
・次の30秒は左右のエルボー
・最後の30秒は逆サイドのショートコーナーとエルボー
を移動しながらシュートを打ちます。
 20本決めるのが目標です。すごい選手は25本を超えてきます。1分半走り続けられる脚力と集中力、そしてシュート力が問われるドリルです。
 
今回はミサキの20点が最高記録です!

6)99ersオールコート
 ゴール下1点、ローポスト2点、フリースロー3点、エルボー4点、3ポイント5点のシューティングです。オールコートで、1本打ったら次のシュートは逆サイドのゴールで打ちます。スピードの中でのシュート力、体力を使った状態でのシュート力を高める練習です。1点から5点の場所を順番に決めて いき、1分以内に5点の場所で決めることができればクリアです。5点までクリアしたらまたゴール下に戻り、そこが6点になります。超一流の選手であれば、1分で10点まで、つまりゴール下から3Pまでを2周できると思います。
 
今回はアミの6点が最高記録です!

3.シュートの基本復習  シュートの技術のポイントを復習しました。さすがに皆さんポイントは理解してくれていました。
@ボールはリングに向かってまっすぐ飛んでいる
Aボールはリングのあるその距離にちょうど飛んでいる


この2つができればシュートは絶対に落ちません。

しかし、人間はロボットではないので常に同じところに同じようには打てません。
シュートの確率が良い選手と悪い選手の差は、シュートがぶれやすいかどうかです。シュートフォームにボールがぶれる原因が多いとなかなかシュートの確率は上がりません。

リングの直径が45cmです。
みなさんが使っているボール(6号ボール)の直径は23〜24cmですから、左右前後に10cm以上ぶれないシュートを身につければ、シュートの確率はとても高くなります。


 左右に曲がりにくいシュートフォーム、前後の距離感がつかみやすいシュートフォームを身につけていきましょう。

4.まっすぐ打つ ・まずは、最後にボールを離す指(シューティングフィンガー)を確認しました。個人差があるのでそれぞれ2人組のチェック方法で確認してもらいました。

・ボールを下から持って、左右に振ってもボールが安定しているように持ちます。このとき、シューティングフィンガーはボールの中心を指しているようにしましょう。

・ボールの真下に腕が来るように、肘を90度に曲げます。このとき、腕の位置は利き足の真上にくるようにしましょう。

・サポートハンドは
「ガイドライン」になるように、小指をリングの端に合わせましょう。

・ボールの中心を指している指がゴールの中心を指すようにまっすぐスナップします。

・腕が曲がっているとボールが曲がりやすくなります。
「アンダー・ザ・ボール」を意識しましょう。

・手首と肘に見えないチョークをつけて、見えない黒板に1本の線を引くイメージで肘を動かします。

・肩のラインが曲がっていたり、回転してしまうと、ボールは曲がりやすくなります。

・利き足はリングを指します。この利き足とゴールを結んだ線を
シューティングラインと言います。ゴールライン上をボールが飛んでいくイメージです。


5.距離感をつかむ フォロースルー(打った後の形)はボールが地面に落ちてくるまで止めましょう

・肘は伸ばしきりましょう。肘の伸ばしがいつも違うといつも距離のコントロールが変わってきてしまいます。

・肩が前後に移動しないようにしましょう。まっすぐしゃがんでまっすぐとぶ、
「ストレートダウン・ストレートアップ」が重要です。

・自分とリングのちょうど中間でボールが最高点になるようにイメージしましょう。

途中、「抜く」「引っかける」の練習を行いました。

シュートの距離はボールの「スピード」で決まります。同じシュートフォームでも、最後にどれだけスピードを伝えるかで距離が変えられるのです。

 距離を変えるのにフォームが変わってしまう選手は、良いシューターになれません。同じフォームで、指先のタッチで微妙な距離感を調整できるようになりましょう!

6.連続ジャンプシューティング  ボールを持った状態で3回連続ジャンプをし、シュートを打つ練習です。このシューティングでボールが曲がらないこと、距離を変えても決められること、これらが達成できていれば基本の能力がだいぶ身についてきたといえます。

 毎年紹介し続けている大事な練習です。この練習はどんなレベルの選手でも行える基本ドリルです。

 こういった
基本ドリルの「質」の高さが、技術のレベルを表します。高い目標を達成するためにも、毎年行っているこのドリルで過去にないくらい精度の高いシュートを目指して下さい。

7.オフドリブルシューティング  ドリブル後のジャンプシュートを練習しました。ドリブルからシュートを打つまでに時間がかかると実戦的ではありません。速さを出すために、まずはクロスオーバーのドリブルジャンプショットを練習してもらいました。

 クロスオーバーの場合は、抜き足が地面に着く直前にドリブルを突きだすことで、より素早く跳ぶ動作に入ることができます。
「ダダダン」のリズムで素早くシュートモーションに入れるようにしましょう。

8.実戦1on1シューティング  ディフェンス付きの実戦シューティング練習です。ディフェンスがチェックに出てくるこの練習で、連続でシュートを決めることができれば、実戦的な能力も非常に高いということになります。

 ディフェンスが入るだけで、シュートモーションが不安定になったり、バランスを崩したりしてしまう選手がいます。そういった選手は、練習で入るが試合では入らないというパターンの選手になってしまいます。


 こういった練習で安定してシュートを決められるかどうかが重要です。
●ディフェンスがいるなかで、再現性高くシュートを打つこと
●ディフェンスがいるなかで、修正力を発揮すること

この2つを磨くことで、試合でのシュート力が高まります。

 オフェンスは、打てないと判断したらワンドリブルでかわしてシュートを打ちます。この練習で5本連続以上を達成できれば中学生としてはかなり能力が高いです。
10本連続で決められれば、試合でもかなりの確率でシュートを決めることができます!

9.アシストパスドリル  3on3の実戦シューティングドリルです。パッサーが固定で、残りの2名がスクリーンを駆使してノーマークを作り、シュートを決めます。
・パッサーの状況判断、パススキル
・シューターのディフェンスを振り切る能力、動きながらのキャッチ&ショット能力
・スクリーナーの技術と判断力

こういった能力のレベルアップを目指すドリルです。

 試合中のシュートチャンスを作る上で、シューターだけがレベルアップしても結果はでません。シューターはシュート技術のみならず、チャンスを作る準備についてもレベルアップしていく必要があります。また、チャンスにパスが出せるパッサーの能力も必要です。こういった練習で、高確率にシュートが決められるようになれば、運動能力差を判断力で埋められると思います。

10.2on2on2  状況判断を高める2on2on2のドリルを行いました。2人組が3つ、コートの中に入ります。2つのチームがそれぞれボールを1つ持ってオフェンス、1つのチームがディフェンスです。コート上で、2つのボールがとびかう2on2on2です。ドリブルは禁止で、2人でパスをつなぎながら攻撃します。

 ディフェンスはボールを奪うか、リバウンドボールを拾ったらオフェンスになれます。ボールを持っていない2人組がディフェンスです。ディフェンスの様子を見ながらチャンスをねらう
状況判断のドリルです。

11.ゲーム  最後に、今年のチームの特徴を確認するためにミニゲームを行ってもらいました。これからシュートの練習を行っていく上で、どこに重点を置いて、何を優先しながら練習していくべきか、今回のゲームをひとつの判断材料にして考えていきたいと思います。

 指導の感想と次回へ向けてのコメント
 いよいよ新チーム第1回目の練習が行われました。新チームの皆さんとこれから練習していけるのをとても楽しみにしています。皆さんのシュート力が高まるように、これから僕の持てる全てを駆使し、全力を尽くして皆さんを応援していきたいと思っています。
 
 今回、まずは皆さんの「今」の状態を確認するべく、色々なシュート力テストを行いました。目標も確認しました。最後の大会まで、残されている時間も分かっています。

 
今の自分たちを知り、目標を定めたら、あとは10か月かけてその目標に向けて一歩一歩近づいていくことです。自分たちの力を知らなければ、どのくらい努力が必要かイメージできないですし、目標がはっきりしていなければ、どのくらい努力すればよいのか見当もつきません。

 皆さんははっきりとした目標があります。だからこそ、まずは自分たちの今の力を知りましょう。
いま、誰かより優れていることや誰かより劣っていることは問題ではありません。いまから、毎回の練習で最高の努力を続けていくことが大事です。

 これからの皆さんの成長を心から応援しています。「なりうる最高の自分・最高のチーム」を目指して、今年もがんばりましょう!

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